日々是雑記

日々のあれこれを好き勝手に書いています。

二つの山河

届いて二日で読了。
歴史に興味はあれども、なかなか近代史に食指が動かずにいたのですが、この作品に出会えたことで近代史にも興味が湧きました。

松江豊寿という人物が何を成したのか。
敢えて調べずに読んでみました。
文章は淡々と進むのですが、読んでいくとじんわりと感動が滲んでいくような優しいお話でした。

最初は松江中佐が、ドイツ人の捕虜に対してとても優しく接した人だという印象が強く、粋な人であったのだなぁと思いながら読んでいました。
読み進めていくと、松江中佐が会津出身であること、父・久平や会津の人々が戊辰戦争の後、朝敵と言われ辛酸を嘗める生活を強いられていたこと、韓国併合の際にその舞台裏に立ち会ったことがわかっていき、松江中佐の印象ががらりと変わります。

先祖や己の過去の出来事をずっと心に秘めていたことを知ると、「彼らも祖国のために戦ったのだから」という松江中佐の言葉が、とても重みを含む一言だと気づかされます。
短いお話ですが、とても内容の濃い、読んだ後清々しく優しい気持ちになれる素晴らしい作品でした。

来年初めて沖縄へ行くことが出来るので、今からとても楽しみにしているのですが、このお話を読むと四国・松山辺りにも行きたくなってきました。
会津の辺りも、もう一度行きたいし、まだ行ったことのない中部や日本海側、九州も行ってみたい。

夢が膨らむばかりですが、買った文庫本にあと短編が二本収録されているので、とりあえず明日からはその短編を楽しむことにします。